<英語学習>


『プロが教える現場の英語通訳ガイドスキル』 【クリス・ローソン ・ 伊集院幸子(著),2010年,三修社,2,200円】

通訳ガイドに従事しようとする人向けのテキストです。ガイドにおける準備の手順や客に対する気遣い、トラブルへの対応といった一般的な注意事項から、歴史や文化などについて何を話すべきかという内容面まで、英語でどのように表現すればよいかが豊富な文例とともに説明されています。私は通訳ガイドを目指すつもりで読んだのではありませんが、日本のことについて英語でどのように説明するとよいのかを知るうえで、たいへん有益でした。


『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文』 【越前敏弥(著),2009年,ディスカヴァー・トゥエンティワン,1,000円】

オビには「英語自慢の鼻をへし折る!」と威勢の良い売り文句。「なんやと、このやろう!」とばかりに挑戦してみましたが…見事に鼻がもげてしまったようです。いや、もとからそんなに高い鼻じゃないんですが…。特に否定関係のところは弱いなあ、と、悔しいやら反省するやら。まあ、売り文句とは裏腹に、著者の語り口はいたって淡々としていて、ことさらに挑発的という印象は受けませんでした。取り上げられている英文は、たしかに誤解してしまいそうなポイントが含まれたものばかりで、なまじっか、それなりに通用する英語力を持った人だと、かえって引っかかってしまいそうです。英文を正しく翻訳するためには、いかに知識を正しく運用できなければならないかがよくわかります。英語って、いつまでたっても難しい…。

『英文ライティングの法則178』 【石井隆之(著),2007年,明日香出版社,1900円】

私はこれを読んで、自分の英語力のなさを痛感しました。成人学習者を対象としており、ひじょうにレベルが高いです。基本語の持つ意外な意味の整理や、「源泉徴収」「内容証明」「執行猶予」を英語でどのように言うか、といった語彙知識の拡充、「上から何番目の引き出しにありますか」「ゲームを止めて、そろそろ出かけましょう」を英語でどう表現するかといった、文レベルでの英語的発想法の習得、さらに、文章を簡潔にまとめて表現する技法や、「TOEICに必要な能力を、T・O・E・I・Cの頭字語でまとめてみると」といった、インパクトのある文章の技法、伝えたい意味を正確に表す技法など、幅広い視点から上級のライティング力を身につけるために役立つ内容が、おおよそ語→文→文章といった段階を追って整理されています。また、散在するコラムもためになるものばかりで、練習問題もユニークです(「次のうち嘘つきは誰でしょう?」など)。ひじょうに濃い内容が高い密度で詰め込まれていますので1900円は安いです。


『英語らしい英文を書くためのスタイルブック』 【富岡龍明(著),2006年,研究社,1500円】

日本語的な発想で書かれた英文を英語的な英文にするにはどう書き換えればよいか、あるいは、字義的には同じ意味を表す複数の表現法のうちどれを選択することが文体の面から適切なのか、ということについて、豊富な具体例と練習問題を通じて学ぶことができる参考書です。自分で英語を使っていて、「文法にも適っているし、意味も通じているけど、いまひとつ垢抜けない」英語になってしまうことがありますが、そういう「垢抜けなさ」の矯正に良い教材ではないでしょうか。


『ネイティヴ並みの『英語の書き方』がわかる本』 【三浦順治(著),2006年,創拓社出版,1400円】

米国の大学での教授経験などから日本人の書く英語作文の特徴に詳しい著者が、ネイティヴ・スピーカーの土俵で説得力のある英文を書くには、日本人的英文の何をどのように矯正すればよいかを解き明かします。センテンスからパラグラフ、そして文章へと順に話が進められ、豊富な具体例や練習問題を通じて、自らの持つクセに気づけるような構成が取られています。英語的な文章と日本語的な文章というのが、言語に内在的なものなのか、あるいは文化的・状況的なものなのか、という点で疑問は感じます(日本語でも文章の種類によっては「英語的」だったりするし)。また、最後まで「トピック・センテンス」なるものの正体がはっきりしないという気持ちの悪さも残りますが、全体としてはたいへんわかりやすく有用なテキストです。いわゆるパラグラフ・ライティングについて受験参考書レベルを超えた知識を得るには格好の一冊だと思います。


『大学受験 減点されない英作文』 【河村一誠(著),2006年,学研,1200円】

タイトルがいかにもというか、「なんだかなあ…」という気もしますが、受験生ターゲットなので、まあ、それは仕方がないかと。参考書として出来が良いものなのかどうかは、よくわかりません。色使いやレイアウトに工夫が凝らされているようには思うのですが、それが必ずしも読みやすさにはつながっていないかも。ただ、内容面は、経験浅い教員にとっては興味深いのではないかと思います。高校生がやってしまいそうな文法・語法上の誤りや語彙の選択ミスなど、生徒のトラブルスポットを知っておくには参考になるのではないかと思います。


『大学入試 最難関大への英作文』 【大矢復(著),2005年,桐原書店,1200円】

「難関」といわれる大学が出題する長文の和文英訳や英語による要約、自由英作文といった難度の高い英作文問題への対応力を養おうというコンセプト。しかし、いきなり難問にトライするのではなく、第1章「和文英訳の基本」で、多少入試英語に慣れたつもりの受験生がつまづきそうな文法・語法上の重要ポイントが短文英作文問題を通じて要領よくまとめられているので、中級から上級へのスムーズなステップアップができます。国公立大学の受験生くらいにはちょうどよいレベルかも。この第1章と章末の「英作文頻出語彙集」だけでもかなりの勉強にはなると思います。第2章・第3章では難問に対する「考え方」が示されているので、過去問などで演習する前に読んでおくと効果的ではないかと。そしてなにより、指導歴の浅い私にとっては学習者のトラブルスポットとその解決法を知るという点でかなり勉強になりました。


『「京大」英作文のすべて』 【鬼塚幹彦(著),2005年,研究社出版,1800円】

オビには「英作文参考書の最高峰」との売り込み文句がありましたが、たしかに大学受験生向けの和文英訳の参考書としては最も重厚なつくりのものではないでしょうか。内容は書名のとおり、京都大学の英作文問題だけを採録し著者が解説を加えるというものです。著者は「一見むずかしそうな問題の大半は基本事項を組み合わせることで表現できます」と言いつつも、「本書では、日本語の雰囲気なども考慮しできるだけ完璧な訳を目指した」と本書の方針を説明しています。その言葉のとおり、ありきたりの「構文」でお茶を濁すことなく、できるだけ原文の意図するところを正確に伝えようとする訳文が紹介されており、大学入試レベルとしてはひじょうに高度な「翻訳」を要求する参考書になっています。私自身、一つ一つの問題をじっくりと考えながら読み進めると数ヶ月がかかってしまいました。英語指導者が勉強するのにも耐えうるテキストだと思います。なお、「まず気づくべきこと」に書かれている内容は、まず気づくことはできないことばかりだと思いました。


『高校入試英語リスニング完全攻略本』 【学研(編),2005年,学研,1300円】

高校受験生(中学生)向けのリスニング参考書です。前半でリスニングの問題点となる特徴的な音変化を解説し、後半では実際の入試問題の形式別に演習ができる構成となっています。たいへんよくまとまった編集となっており、指導者にとってもリスニングの何を指導すればよいかを知るのによい本だと思います。問題のレベルはさておき、現時点では中学校でも高校でもリスニング指導において押さえなければならないポイントに大きな違いはないと思いますので、中学だけでなく高校の授業でも使えるのではないでしょうか。


『聖書でわかる英語表現』 【石黒マリーローズ(著),2004年,岩波書店,740円】

英語にはキリスト教文化を色濃く反映する表現が多くあります。現代出版されているさまざまな書籍や新聞・雑誌などに登場する表現にも、一見したところキリスト教との関係が見えにくいものの、キリスト教に詳しい人であれば「ピン」と来る表現がありますが、本書はそういった英語表現を通じてキリスト教文化を紹介し、その表現がより深く理解できるように解説を加えるものです。著者自身がクリスチャンということもあってところどころに宗教的なにおいが感じられ、非クリスチャンには少し居心地が悪く思えそうな部分もありますが、全般的に、英語をとりまく宗教文化について理解を深めるのには、たいへん読みやすくて面白いと思います。そのうちWorld Englishesが拡大すれば、神道のにおいのする英語表現なんてのも出てきたりして…。


『会話作文 英語表現辞典 第3版』 【ドナルド・キーン,羽鳥博愛(監修)山田晴子,伊良部祥子(編集),2004年,朝日出版社,2800円】

日本語的な発想をいかに自然な英語で表現するかを示す、いわゆる「表現辞典」の類です。構成はいたってシンプルで、いかにも日本語的な発想による和文と、それに対応する英文が対になって示されています。用例がすべて文の形で示されているのが本書の特徴で、見出し項目以外の部分でも英語表現を学ぶことができます。自分の英語力にはシンプルに表現する力が不足しているのかな、と強く感じるようになっていたので本書に手をつけてみたのですが、とにかく示される英語表現が私にとっては「コロンブスの卵」的なものが多く、少しずつですが「英語発想の矯正」に役立てているところです。


『英語のセンス ネイティブに学ぶ英語術』 【晴山陽一,クリストファー・ベルトン(著),2004年,プレイス,1300円】

英語ネイティブ・スピーカーの作家が高校初級〜中級レベル程度の語彙を含めて自作したオリジナル例文を集めた用例集。従来にはない、なかなかユニークな試みだと思います。作家らしく鋭い視点から世の中のさまざまな事象を言い表した例文が多く、「ああ、英語っぽい!」と納得の連続です。タイトルの通り、楽しく読んで知的に刺激を受けつつネイティブの英語センスを吸収することができる本です。


『超右脳つぶやき英語トレーニング』 【七田眞(監修)登内和夫・エリザベス=タウンゼン・テリーアン=ソール(著),2004年,総合法令,1900円】

監修者は「七田式学習法」として右脳を使うとされる学習法を提案しています。本書はその、右脳を使うとされるイメージを大切にした英語学習法とその具体的な学習材料を提示しています。右脳云々は商売文句程度に受け取っておくべきでしょうが、英語の教材としては優れています。日常生活のいろいろな場面における「独り言」を英語で言ってみるという趣旨で、ネイティブ・スピーカーの用いる口語表現がふんだんに採用されており、下手な教材くささがありません。また、教材のモノローグがノーマル・スピードに加えて2倍速・3倍速でも録音されていて、速聴訓練ができるのがうれしいです。シャドウイングなどのトレーニングに使うにはもってこいの教材です。


『知的会話のための英語』 【カール・B・トゥーヒグ(著),2004年,ベレ版,1800円】

主に欧米文化を背景とした教養人と知的に負けない会話をするための背景知識と英語表現が紹介されています。「死の概念が生まれた背景は何か」「詩とはいったいなにか」など、現実生活とは直接的には関係のない、しかしそれを考えることが良質の知的トレーニングになるようなトピックが多数取り上げられています。それぞれのトピックについて簡単な解説と英語表現が紹介されるので、自分の頭で考え、それを英語で表現しようとするのに良いと思います。大学入試を目指す高校生でもこういった「高尚な」トピックを考える習慣が付いていると、入試はもちろん大学入学後の知的な学習の基礎ともなるので、ぜひ読んで考えてほしいと思います。


『誤訳の構造』 【中原道喜(著),2003年,聖文新社,1800円】

世に出されている文学作品などの翻訳において見られる誤訳のうち、学習者にとって勉強になるであろうものを集め、解説を付した学習書です。昔に出版されていた本の改訂新版のようですが、内容は今にも充分通用するものです。ちょっと英語のできる高校生か大学生ぐらいがやってしまいそうな誤訳について、豊富な実例が示されているのですが、教員ならば、誤訳例を見ずとも「ああ、これね」とピンと来るものが多いのではないでしょうか。英文自体は極端に難解なものはありませんので、ちょっと手を加えれば高校生向けの英文和訳の練習材料に使えそうです。また、類例を示した解説も丁寧で、たいへん勉強になります。なお、本書の中にもいくぶんの瑕疵はあるようで、たとえばこちらを参照のこと。また、古谷(1983)のNo.2が、奇しくも本書132番の誤りを正す内容となっています。


『英文を読み解く以前に知るべき現代社会の常識』 【古藤晃(著),2003年,プレイス,1500円】

大学受験生向けとして出版された『英文読解以前』を一般読者向けに拡充したような本です。英語が読めるようになりたい、インターネットや英文雑誌などから情報を仕入れたい、といくら願ってみても、前提となる背景知識を持ち合わせていなければ効果的な英文読解は難しいもの。そういった観点から本書では、英文を読み解くうえで助けになるであろう現代社会の諸問題についての概略が要領よく整理されています。扱われているトピックは多岐にわたっており、英語とは無関係に、社会人の一般教養のためのハンドブックとしても充分機能すると思います。


『ネイティブ式英語リーディング入門』 【米山達郎(著),2003年,研究社出版,1500円】

英文を読むとき、左から右に目を走らせて英語の語順どおりに理解するにはどうすればよいか、について「7つの目印、5つの語順、3つの品詞」を手がかりにする読み方を提案しています。「7・5・3」というといかがわしいテクニックの類を連想されるかもしれませんが、内容は実に正統派。英語が正確に読める人の頭の働きがうまく整理して説明されていると思います。間違いやすい構造についての練習問題も用意されており、英語指導者にとってはWhat to teachとHow to teachの両方についてヒントが得られるのではないでしょうか。


『標識に従えば英語はスッキリ読める』 【成田あゆみ・日比野克哉(著),2003年,増進会出版社,1400円】

同出版社の大学受験生向け参考書『ディスコース・マーカー英文読解』を一般向けに加筆修正したものです。受験生向けには専門用語、一般読者向けには日常語でタイトルをつけるあたりがあざといですが、そんなことは関係なく内容は絶品。英語の文章について、まずは個々の文の語句・構文解説に始まり、文と文の論理関係、パラグラフ間の論理関係、そして文章全体の論理展開へとスモールステップで実に丁寧な解説がなされています。問題量も充分で、1冊通して読めば、文章の何に着目すればよいのかがよくわかります。パラグラフ・リーディングの指導法を模索する英語指導者には真っ先に読んでほしい文献の1つです。


『情報構造で読む英語長文』 【西きょうじ(著),2002年,代々木ライブラリー,1200円】

奇をてらわない正統派の予備校講師として名高い著者によるパラグラフ・リーディング入門書。「情報構造」というと「旧情報→新情報」といったものを思い出してしまうのですが、本書で扱われているのはもっと幅広く、文と文の関係や文章展開に関する原則です。「情報構造」という用語に何か特別なテクニックを期待して読む受験生は少々拍子抜けすることでしょうが、筆者が自分の考えを読者に効果的に伝える文章技法について正面から解説がなされていて、なるほど正統派、と思わせてくれる内容です。個々の文についてもきちんと解説がなされていますので、1文単位でつまづく受験生でも読めるものになっていると思います。欲を言えば記述にもう少し体系性があればよかったかと思いますが、欠点というほどではないでしょう。


『英文ライティングTRY AGAIN』 【大矢復(著),2002年,語学春秋社,1300円】

『大矢英作文講義の実況中継』の一般読者向け改装版です。高校レベルの学習者がどのような点でつまづくのかがたいへんよくまとまっており、大学入試レベルの英作文を学ぶには、最初期の入門書としてひじょうに適した本だと思います。解説も平明で読みやすいのが特長です。また教員にとっても、生徒のトラブル・スポットを知り、どのような問題を示せば効率的な練習ができるのかがわかるという点で、マニュアル的に使えます。英作文における文法・語法的側面に関して、何を教えるべきかという細目を検討するには便利な参考書です。


『On the Streets of America−アメリカ英語方言のリスニング』 【ボイエ・デ・メンテ(編著),2002年,DHC,1600円】

タイトルにあるとおり、「アメリカ英語」内部の方言をダイアログ形式で紹介しており、それぞれの方言についての簡単な解説もついています。本体はダイアログのスクリプトが大部分で、メインは付属のCD。「アフリカ系アメリカ人の英語」「ボストン英語」「ティーンエイジャーの英語」など、6種類の方言が取り上げられており、発音も語彙も全然違う英語を聴くことができます。いわゆる「アメリカ英語」が一面的な捉え方によるものであることがよくわかりと同時に、生きた言葉の魅力がシンプルに楽しめると思います。


『話すためのリスニング ≪上級用≫』【白野伊津夫・Lisa. A. Stefani.(著),2002年,研究社出版,2800円】

「会話はリスニングから」という発想により、スピーキング力の訓練を行う個人学習用トレーニング・ブック。単に「会話表現」を覚えて繰り返すのではなく、英語の文章を何度も聴きこなし、耳に残してから重要表現を練習し、最終的には反射的にその表現が口をついて出てくるようになることを目標としています。「言語習得は習慣形成だ!」と言わんばかりの(笑)機械的ドリルですが、学習の手順を丁寧に説明してくれているし、1人でも段階を踏んだ練習ができるので、たいへん使いやすい。他レベルとして「入門用」「初級用」「中級用」も用意されているのも親切。市販用だけでなく、このまんま教科書に編集しなおしてくれないかな〜。


『センター試験 秘 裏技大全(英語)』 【津田秀樹(著),2002年,洋泉社,1500円

「選択肢を見るだけで答えがわかる」という類の受験「裏テクニック」本。いかがわしいイメージが強いですが、実際読んでみると、出題者の置かれた状況を読んで、なかなか納得させられる説明がなされています。かなり後付け説明的な部分や、自説を強弁しすぎている部分もありますが、大筋としては意外とまっとうな裏技(?)であると思います。姉妹編としてセンター試験国語編や、難関私大入試(英語編・国語編)なども出ていますので、受験生および受験生を教える教員は要チェックか!?(かなり本気)


『伝わる英語表現法』 【長部三郎(著),2001年,岩波書店,700円】

アメリカ国務省での通訳など豊富な英語実務経験を持つ著者が、より英語らしくスッキリした表現を作る方法を伝授するというスタイルの本です。特に「日本語は抽象的、英語は具体的」「英語は一事一文」などの日英語対照を中心に、「ことばを訳す」のではなく「意味を伝える」という視点から明快な英文の作り方が具体例を通じて示されています。ただし、初歩的な発想法の解説をしているかと思えば、模範解答が妙に高度な英文であったりして、誰に読んでほしいのかが不明。ある程度英語を知っている人にとってはそれなりに勉強になるかも。


『英語は絶対、勉強するな!』【鄭讃容(著)金淳鎬(訳),2001年,サンマーク出版,1300円】

韓国でベストセラーになったものの邦訳版。タイトルの真意は「英語は<勉強>するものではない。<トレーニング>するものだ。」ということ。言語と文化の関わりに関する主張や、著者の学習法を絶対化している点などは私はあまり好きにはなれませんでしたが、英語学習法についてはまさに「我が意を得たり」の心持ちがしました。ちょうどスポーツの練習がそうであるように、英語も頭で理解するばかりでは使えるようにはならず、トレーニングによって「身体で覚える」学習、つまり耳や舌が英語に「なじむ」ようにひたすらトレーニングを積むことがどうしても必要だということを主張しています。そして英語を「習慣化」し、「体得」するための英語練習法について著者独自のトレーニング法が披露されています。


『福崎の英文読解 勝利のパラグラフ・リーディング』 【福崎伍郎(著),2000年,東進ブックス,950円】

著者は予備校でのパラグラフ・リーディング指導をいちはやく体系化した先駆的存在。本書ではその手法のエッセンスが要領よく紹介されています。なぜ倒置が起こるのかといった情報構造からの文文法解説や、「抽象→具体」の文章展開、文と文の論理関係、パラグラフとパラグラフの論理関係など、パラグラフ・リーディングのエッセンスが簡潔にまとめられています。「論理チャート」もひじょうにわかりやすく、英語の文章を読む過程でこのようなイメージが頭のなかに形成できればよいのだ、ということがよくわかります。問題数がやや少なめなので、パラグラフ・リーディングとは何かを知る取っ掛かりとしてちょうど良い参考書だと思います。


『英語どんでんがえしのやっつけ方』 【根石吉久・村田晴彦(著),2000年,小学館,552円】

「生活英語」と「語学の英語」を同一視してはいけない、という認識を出発点に、「語学」として英語を身につけるための具体的な学習のノウハウが紹介されているのが第I部。「回転読み」や「電圧装置」など、ネーミングこそユニークですが、要求されている徹底度が半端ではなく、「英語を学ぶ」とか「英語と付き合う」ではなく、「英語をやっつける」という表現を選んだ著者たちの意図がよくわかります。第II部では、対談の形で、日本で英語学習に取り組むことに関する著者たちなりの思想を明らかにしていきます。著者たち独特の言葉遣いもあって、なかなかピンと来ない部分もありますが、「教え方」に振り回されていると見落としてしまいがちな「学び方」を考えるのに面白い著作だと思います。


『アクティブ英語会話表現辞典』 【杉田敏(編),2000年,旺文社,2400円】

コンパクトな表現辞典としてわりと評判が良いもののようです。『会話作文 英語表現辞典』(キーン&羽鳥)よりも基礎的な用例が多く、大学入試から大学初級くらいのレベル。大学受験で勉強した英語が錆付いてしまったけど、もう一度思い出して表現力を高めたい、という人にはオススメです。英語の教員が勉強するにはやや簡単な表現が多いようにも思いますが、会話していてとっさにこんな表現が出てくるかと問われるとなかなか難しそうな気がするので、既に定着した表現を即座に使える状態にまで高める練習用として使えるのではないでしょうか。


『英語リスニング・クリニック』【篠田顕子・水野的・石黒由美子・新崎隆子(著),2000年,研究社出版,2500円】

「ある程度英語はできるのだけれど、どうもリスニング力が・・・」という人のための、一歩進んだリスニングのトレーニング・ブック。本書全体が実録風の物語仕立てになっている点もユニークですが、内容はさらに独自性があって興味深いです。英語の音声についての説明はもとより、リスニング力が弱いというとき、何ができていないのかを解き明かす診断的説明も、リスニングに苦手意識を持つ私には、まさに「ドンピシャ」でためになりました。しかも、練習問題には比較的難度の高い題材が選ばれているので、既存の問題集では物足りなかった人も楽しめると思います。初級編もあります。



『英語正誤用例事典』 【ジェームズ・T・キーティング(著),2000年,ジャパンタイムズ,2400円】

著者は長年英文書の校正に関わってきた英文編集校正者。副題に「ネイティブチェックが自分でできる」とあるように、ノンネイティヴが英語を使うときに多用・誤用しがちな表現を、よりわかりやすく自然な英語になおすにはどうしたらよいかがアルファベット順の辞書形式で示さされています。用例も丁寧で、具体的な用法がわかりやすいです。語義・語法から文体まで、幅広い観点から解説がなされているので、たいへん勉強になります。事典として使うにしても、頭から読んでいくにしても、ネイティヴライクな英語を目指す人にはひじょうに魅力的な1冊だと思います。


『英字新聞を読む』 【清水義次(著),1999年,丸善,780円】

タイトルのとおり、これから英字新聞に読み慣れていこうとする人向けの、読み方指南です。新聞英語のスタイルやよく使われる省略表現、文法的特徴などを詳しく解説し、分野ごとに実際の記事の例を取り上げて英字新聞を読む練習を行います。英字新聞や時事英語を授業に取り入れたいという教員の良いヒントにもなると思います。


『英語通訳の勘どころ』 【小林薫(著),1999年,丸善,760円】

副題に「体験的通訳論」とあるように、著者自身が通訳者として仕事をする中で得た通訳技術や、それを英語学習に活用する方法などがわかりやすく語られています。単に英語を日本語に、日本語を英語にすばやく訳す、といったイメージでは捉えられない通訳の難しさや奥深さを知ることができました。


『早慶上智文法難問完璧演習』【安武内ひろし(著),1999年,研究社出版,1300円】

本書の1つの目的は、高校上級から大学初級ぐらいの英文法知識を提供することで、私立難関校の入試問題に対応できるだけの実力を養成すること。それだけなら、まあよくある上級問題集と同じなのだけれど、実はもう1つ目的があって、それは大学入試に現れる不適切出題を批判すること。正解が2つあったり正解がなかったり、という問題の実例を示して解説を加えています。どっちかっていうと、教員向けかもなあ?


『英文読解の頭脳』【安河内哲也(著),1999年,学習研究社,850円】

基本コンセプトは『英文読解以前』なんかと同じだと思います。大学入試の読解問題に出題されるテーマ(アメリカ論、言語論など)について、その背景知識を提供しようというもの。ついでに実際の出題例なども出して、そのテーマに関する語彙を学習できるようにもなっている。厳しいこと言うと、地歴や理科の勉強をちゃんとしてればこんな本は読む必要はないんだろうけど…とは思うんですけどね。


『これを英語で言えますか?』【講談社インターナショナル(編),1999年,講談社,1200円】

もうタイトルがもろに挑発してますが、「フロントガラス」「まんじゅう」「最大公約数」など、なかなかパッと出てこない単語や表現ばかりを集めた単語・表現集。たしかに「言えません」と冷や汗をかきながら答えなきゃいけませんねー、これは^_^;。ただ、表紙にある「学校で教えてくれない」ってのは、ちょっといやらしい言い方だ、と言っておきたいですね。


『システム英単語』【刀祢雅彦・霜康司(著),1998年,駿台文庫,952円】

受験用英単語集としては、おそらく今出版されているものの中で最高のデキだと思います。まず単語の選定方針はあのコウビルドと同じで、「出る単語順、出る意味順」。しかも、「システム」の名に恥じず、その単語が出題される時の出題形式までをも考慮して、派生形や発音、アクセントなどを体系的に学習できるような工夫がなされています。巻頭の「全国の英語教師の皆さんへのメッセージ」には英語教員は耳を傾けるべきだと思います。


『超英文解釈マニュアル』 【かんべ やすひろ(著),1997年,研究社出版,1200円】

予備校講師による高校生向けの参考書。1文単位の英文解釈法としては、今まで読んだ中で最も明快だと思いました。「学校の教え方」「今までの教え方」を十把ひとからげに糾弾し、「私の教え方が最高」とする物言いは知的に未成熟で辟易しますが、英語についての説明法はそれを補ってあまりあるほど充分に明快です。「英語の文はこういう形をしているはずだ」というフレームが与えられており、さらにフレームのパターンがきれいに整理されているので、「学習者が使う文法」としてひじょうに優れたエレガントな説明になっています。学習文法は私が最も関心のある分野で、私自身も読解文法をいろいろと考えてきたのですが、本書の説明法には正直言って「負けた!悔しい!」と思いました。本書のようなアプローチは、学習文法研究の中で、もっと追究されるべきだと思います(というより、自分で研究したい)。ちなみに、続編の『超英文解釈マニュアル2』、文法問題対策の『超英文法マニュアル』『超英文法マニュアル2』も刊行されています(いずれも研究社出版)。


『大学入試 新・英文法で大切なこと』【里中哲彦(著),1997年,研究社出版,1300円】

大学入試の英文法問題で、どこでも出題されそうな重要問題はカバーしています。たぶん『山口の実況中継』よりも包括度という意味では上。問題量もそれなりにあり、ちょっとレベルの高い応用問題も含まれている。しかも解説もちゃんとしている。「問題集をガンガン解きたいけど、まだ間違える問題が多いから解説はほしい」という人にはお勧め。『山口の実況中継』を済ませた後の「2冊目」かな?


『新英語の構文150』【高梨健吉(著),1997年,美誠社,1220円】

ロングセラーの『構文150』です。自分も受験生時代に使ったのですが、英文解釈ではなく英作文のために使ったらよいのではないかと。ただし、受験勉強の初期の段階にマスターすることが条件だと思います。いつまでもこれだけに頼っていたのでは応用力がなかなかつかないと思うし。まあ、古臭い参考書も要は使いようってとこでしょうか。


『日本人の不思議な英語』【トミー植松(著),1997年,丸善,621円】

英語のお話というよりは、英語ネイティブと会話する際のマナーのお話。日本人が良かれと思って持ち出す話題や表現のうち、実はネイティブにとっては奇妙に思えたり、感情を害してしまうものであったりするものを取り上げ、英語圏文化のマナーではこうだよ、とアドバイスする。いわゆる「脅迫本(笑)」の一種なのですが、著者の意図はネイティブ礼賛ではなくて、お互い歩み寄りましょうね、という趣旨らしい。なかなかスルドイことも書いてあり、私も少しギクっとしました。


『英語リーディングの秘密』 【薬袋善郎(著),1996年,研究社出版,1300円】

英語リーディングにおいてどのように頭を働かせれば正確に読解することができるのか、という問いに対する答えとして、著者が予備校での指導経験から確立してきた理論が段階を追って解説されています。近年の主流である動詞に着目する思考法を基本として、動詞の活用形や前置詞・接続詞といった機能的要素を手がかりに英文を読み解いていく手法が丁寧に説明されています。ただ、実践リーディングの理論としては精緻であるがゆえに、手順を踏んだ論理的かつ抽象的な思考が要求されると思います。「最後のひと伸び」が欲しい学習者には適しているのではないでしょうか。続編に『英語リーディングの真実』(1997年,研究社出版,1300円)があり、こちらはTIMEやNewsweekなどを読むための、より高度な話がメインになっています。


『英文読解入門 基本はここだ!』 【西きょうじ(著),1996年,代々木ライブラリー,825円】

大学受験用の英文解釈の参考書です。落ち着いた作りの本で、「いかにも予備校講師」といった派手さやカリスマたらんとする見栄がほとんど感じられません。英文を正確に理解していくうえで必要となる文法事項が順に提示され、例題を通じて解説がなされていますが、項目の選び方にも解説の仕方にも、何ら特別な「自己流」を振りかざすところが見られません。しかし、それでいて内容は要にして簡。著者のガイドに従って素直に地道に取り組めば、必要な知識はきちんと身につくようにできていると思います。「英語は神業でもパズルでもない。英語は英語として真正面から理解しましょうよ」というメッセージが私には感じられました。英語指導者にとっては、英文解釈の何を教えるべきかを知ることができるのではないでしょうか。姉妹編の『ポレポレ英文読解プロセス50』(1993年,代々木ライブラリー,757円)は、本書で基本を学習した後の練習として使えると思います。


『英語の不思議再発見』【佐久間治(著), 1996年, 筑摩書房, 660円】

「ちくま新書」の英語モノにしては、珍しく読む価値のある本です(笑)本書は、「英語の不思議」を、ヘタに現代英語の枠組み内でこじつけ的に説明するのではなく、歴史的な観点から謎解きをしています。まあ、「じゃあ、なんでそんな変化が起こる必要があったの?」と問われると、論理的必然性はないので困ってしまうわけですが、言語は共時的に捉えるばかりでなく、通時的な観点からも見る必要があることを教えてくれると思います。


『山口英文法講義の実況中継 上・下』【山口俊治(著),1996年,語学春秋社,上:820円・下:900円】

上の情報は私の手許にある旧版のものですが、今は新版が出ています。英文法の参考書としてはひじょうに評価の高い本書。たしかにすばらしい。ホントはもう一歩踏み込んで説明してほしい!という部分も一つや二つではないのですが、まあ、大学入試の英文法問題に関しては、基本的な部分はおおかたカバーしているようです。本書を学習しただけで満足していては絶対にダメですが、とっかかりとしては最高の参考書では?


『英会話への最短距離』【田地野彰(著),1995年,講談社,1200円】

どうすれば簡単に英語が話せるか、というよくあると言ってしまえばよくあるテーマの本ですが、内容はなかなか興味深いです。まず「だれが/する/だれに/なにを/どこで/いつ」という英文の「意味順」を捉えたうえで、3つのルールにしたがって英文を構成するやり方を教えてくれます。同著者による『「創る英語」を楽しむ』(1999年,丸善,720円)は本書を発展させたもの。両書とも英作文の出発点として使えるのでは?


『英語の使い方』【今井邦彦(著),1995年,大修館書店,1600円】

大学初級程度の文法・語法の知識から、丁寧な表現やきっぱりと意見表明するためのテクニックまで、ハイレベルな「英語の使い方」を提供してくれる。著者が自ら「良い本だ」と認めるだけあって、なかなかよくまとまっています。高校時代は英語はトップクラスの成績を取っていて、さらにハイレベルなことを!と望む人にはもってこいかも。


『英文読解の透視図』 【篠田重晃・玉置全人・中尾悟(著),1994年,研究社出版,1400円】

2006年初頭に書店で見て購入したのですが、私自身が大学受験生であった頃に出版されており、既に10年以上のロングセラー(2005年8月で12刷)であるということに驚きました。いわゆる「英文解釈」に関わる受験参考書です。英文の中には、理屈のうえでは基本的な文法知識の組み合わせで理解できるはずでも、やはり多くの学習者がつまずきを覚えてしまう構造のものが何種類かあります。本書はそういった学習者のトラブル・スポットばかりを集め、正確な構文理解への道筋を丁寧に示すものです。読解においては、単語・熟語といくつかの「構文」を覚えて対処するレベルと、ディスコースを意識して文章の大きな流れを意識して読むレベルの中間に位置する、こういった「基礎知識の組み合わせ」に関わる部分の習得が不可欠なものだと思います。英語教員としては、生徒に何を教えなければならないかを知る、一種の教授資料として本書を活用することができるのではないでしょうか。


『愉しみながらの英作文』【米沢頼子(著),1994年,明日香出版社,1165円】

これでもか!というぐらいのパターン練習による英作文問題集。日本語にちゃんとどの要素を何番目に持ってくるか、という記号が付けられていて、基礎の基礎から英作文の練習ができる。英語があまり得意でない、という人は、まずひたすらこの本をやってみて英語のカンを身につけるとよいかも。続編として同著者による『もっともっと愉しみながらの英作文』(1996年,明日香出版社,1165円)もある。


『福崎の英文法・語法頻出問題解法』【福崎伍郎(著),1994年,学習研究社,950円】

内容にそれほど目新しいことがあるわけでもなく、説明の枠組みもそんなに奇抜なものでもない。けれども、情報量は相当なもの。特に「頻出ポイント」としてまとめられているリストは、英語教員も教材研究に使えます。また、第2部の「OUTPUT編」は知識の適用だけで解ける問題から構造分析、内容分析までをも必要とする問題へと段階を踏んでおり、なかなかユニーク。


『英語のソーシャルスキル』【鶴田庸子,ポール・ロシター,ティム・クルトン(著),1988年,大修館書店,1400円】

上級者向け。英語で表現の丁寧度合いはどのようにコントロールされるのか、どんな表現を使えば相手に対する思いやりを示せるのか、など、ネイティブ・スピーカーとの対人関係で必要になる英語の使い方を教えてくれる。単なる語法的な操作の知識だけでなく、その背景としてある「丁寧さの原理」とでも言うべきものがわかる。


『頭と心と身体を使う英語の学び方』【近江誠(著), 1988年, 研究社出版, 2233円】

タイトルどおり、全身全霊をこめて英語を向き合うことで英語を身につけよう、という学習法を提唱している。具体的には表現力豊かな音読や、リーディングによる大量のインプットの重要性が説かれています。一部ではきわめて評価の高い本書だが、個人的には「はあ…まあ、そうですねえ…」としか思えませんでした。これを授業に活かそうとするなら、かなりの工夫が必要になりそう。悪いことを言っているとは思いませんけど。


『英文の分析的考え方18講』 【古谷専三(著),1982年,たかち出版,2400円】

副題は「英文解釈 古谷メソッド 完結編」。英文解釈、つまり、構文・内容の難解な英文を日本語に訳しながら理解することについての学習書です。出版年以上に古めかしいというか、「メソッド」と言いつつ、記述はまったく体系だったものではなく、「分析的」と言いつつ、かなりの程度著者の主観にあふれた記述が散らばっており、現代的な学習参考書や問題集とはかけはなれた著作です。しかし、たった18編の英文ですが、一読して意味の取れるものは皆無に近く、理解できたと思っても、解説を読むとさらに深い理解が得られ、勉強になりました。最近の参考書では、さすがに教員が唸るほどに難解な英文が出題されていることは少ないですから、自分の勉強のためには、こういった古いものに目を向けるのもおもしろいかな、と思います。


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