第一章
ファーストコンタクトは大切


ブルルンブルルン。バイクのエンジン音が大きく鳴いている。 俺は今、風になっている。嫌なこともこの時だけは忘れることが できる。そのために俺はこの集団に入っている。

こうして力任せにスロットルを回せば、周りの景色は見えなくなり 何も考えることをしなくてもよい。そうして最近は生きてきたのだ。 いや、そうしなければ生きていけなかったというべきなのかもしれない。 それほど、この世で生きるということが辛く、そして退屈だったのだ。

そして今日も国道沿いを仲間と一緒になって走っていた。ちょうど3丁目 を過ぎたあたりで何かの音がした。このバイクに乗っていて気づくということは かなりの音だろう。しかし俺には関係のないことだ。そう思って走っていると、 今度は仲間の声が聞こえた。なにか「危ない」と言っているようだがなかなか 聞き取ることができない。

その刹那、俺は空を飛んでいた。それは数秒の間だったが、まるで何分も地面から 離れているかのように感じた。そして、地面で大きくバウンドをして3回ほど天地が 逆転してようやく止まった。一体何が起こったのか分からなかった。目を開けたとき 俺の視界に入ったのは、跡形もなく吹き飛んだバイクと、逃げ出す仲間たち、 そして、俺の傍らに佇む少女だった。俺は何とか起き上がろうとするが体がいうことを きかない。というよりも体全体に力が入らないというのが正解なのだろう。 どうやらこの世ともお別れか、と意識も薄れつつ思ったとき、少女が口を開いた。


「ちっ、まだ生きていたか。」


それが、彼女との出逢いだった。

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