第十三章
見た目は大切


「会わないほうがいいって、そんなに凄いのかその人は?」

「そういう意味で言ったのではない。」

いまいちこの娘の真意が掴めない。まあそれはともかく今は 勉強を続けなければならない。それにしても数学というものは 何故こうまでに人を追い詰めようとするのだろうか。どう考えても 人間に解けるとは思えない数式ばかりだ。

「この程度も解けないのか、お前は。」

「そういうおま…、所長は解けるのかよ。」

鈴音は胸ポケットからシャープペンシルを取り出すと、すらすらと 呪文を唱えるが如く問題を解いていく。

「中学生なのに高校の問題を解けるとは、さすがに所長だけあるな。」

俺は素直に感心したが、鈴音の表情が何故か怒りに満ちているように見える。

「言っておくが私はは・た・ちを超えている。」

二十歳を強調する鈴音。そうでしたか、人を身長で判断するのは よろしくありませんね。たった今そのことを体で覚えました。 でも141cmちょっとだとどうしても中学生にしか見えないんだよな。 服のサイズもきっとそれくらいで十分いけそうだし。

「お前は死に急ぎたいみたいだな。」

「な、また人の心を…」

「口に出してるぞ。」

「ど、どこから!」

「でも141cmちょっとのところからだ。」

のっけからですか。

「なぜ141cmと判った?」

「一応俺の特技みたいなものだからな。」

意外そうな顔で俺を見る鈴音。そうなのだ。俺は目で見ただけで、だいたいの 長さを測ることができる。正直生活で役に立つことはないから特に意味は無いのだが…。

「大切にしろよ、その特技。」

諭すように鈴音は言った。

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