【特集】預託法・特定商取引法の改正を求める意見書採択&書面交付電子化反対の取組

 消費者庁が設置した「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」が、2020年8月19日に報告書を取りまとめました。

 報告書は、「消費者の脆弱性につけ込む悪質商法の手口の巧妙化・複雑化には、断固とした対応をする必要がある。具体的には、法執行の強化はもちろん、消費者利益の擁護及び消費者取引の公正化の推進のため、消費者被害を発生させる悪質事業者(「共通の敵」)にターゲットを絞った実効的な規制等を新たに措置する抜本的な制度改革を実行すべきである。」としました。

 この報告書に沿った預託法・特定商取引法の改正を求める地方議会意見書の採択をめざす取り組みが全国的に進められています。

 大阪府でも府市町村全44議会に対する要請・陳情を行いました。

改正ポイント
①販売預託商法を原則禁止 ②詐欺的な定期購入商法をなくす ③送り付け商法をなくす

大阪府内の7地方議会が、法改正・執行強化を求める意見書を採択!
*大阪府議会 *大阪市議会 *堺市議会 
*八尾市議会 *和泉市議会 *泉大津市議会 *大阪狭山市議会

消費者被害を増やす「特定商取引・預託取引でのデジタル書面交付」に反対!

 消費者庁は、特定商取引法が契約の際に契約内容やクーリング・オフなどについて記載した「紙の書面」を交付することを事業者の義務としていることについて、「消費者の承諾を得た場合に限り、電磁的方法により提供することを認める法改正」をしようとしています。
 しかし、消費者被害に取り組んできた消費者団体や専門家の多くが、この改正に反対の声をあげています。

「特定商取引でのデジタル書面交付」に反対する理由

①「紙の書面交付」は消費者保護のための大切な規制です。

 <特定商取引法>は、
 消費者にとって不意打ち的な勧誘である訪問販売・電話勧誘販売・訪問購入、
 利益が得られると強調されがちな連鎖販売取引(マルチ商法)・業務提供誘引販売取引(サイドビジネス商法)、
 長期にわたり複雑になりがちな特定継続的役務提供(エステ、学習塾、結婚相手紹介サービスなど)という、
 消費者被害につながりやすい要素を持つ取引類型について、消費者保護のための規制を定める法律です。

 「紙の書面交付」の義務付けには、消費者が契約内容を冷静に再確認する時間と機会を持たせる機能や、クーリング・オフができることを伝える機能(*クーリング・オフについては赤枠の中に赤字で、8ポイント以上の大きさの文字で記載することとされています。)などがあります。
 また、「書面交付」された日が、クーリング・オフ期間の1日目になります。


②「デジタル書面交付」では「紙の書面交付」が持つ機能が弱まります。

 「紙の書面」であれば、届けば分かり、手にとって見ることができます。まわりの人が気づくこともできます。
 しかし、「デジタル書面交付」では、消費者が自分で届いたことに気づき、スマホやPCで開いて確認しなければなりません。
  スマホ・PCの画面で細かい契約内容を確認することは一般の消費者でも難しいものです。高齢者であればなおさらです。


③「承諾した人だけだから」では、消費者保護になりません。

 セールストークを信じて契約した段階で、「デジタル交付でいいですね」と事業者に言われれば、多くの消費者がOKするでしょう。
 書面の中に、聞かされていない説明がある可能性や、クーリング・オフの説明があることまでは、意識しないのが普通です。


デジタル化の取組は、それでより良い暮らしが実現することが、当然の前提です。
消費者被害を増やす可能性が指摘されるデジタル化を拙速に進めるべきではありません。
消費者庁は、消費者や消費者被害に取り組む専門家の声に耳を傾けるべきです。

  大阪府内の地方議会で採択されたデジタル書面交付についての意見
大阪府議会 4.契約書面等の電磁的方法による提供及びクーリング・オフ通知のデジタル化については、消費者保護とデジタル化の推進の両面から十分に検討を行った上で制度化するとともに、デジタルツールに不慣れな高齢者や障がい者及びトラブルに巻き込まれやすい若年者等の被害の未然防止を図るため、デジタルリテラシー向上に向けた消費者教育を一層充実・強化すること。
堺市議会 5.特定商取引法及び預託法の書面交付義務について、電磁的方法により交付することを可能に
する法改正を拙速に行わないこと。
6.特定商取引法及び預託法の書面交付義務について、電磁的方法により交付することを可能に
する法改正については、消費者被害防止・救済に取り組む有識者を含む審議会又は検討会にお
いて、充分な審議を行い、慎重に検討すること。
大阪狭山市議会 1.特定商取引法及び預託法の書面交付義務について、電磁的方法により交付することを可能にする法改正を拙速に行わないこと。
2.特定商取引法及び預託法の書面交付義務について、電磁的方法により交付することを可能にする法改正については、消費者被害防止・救済に取り組む有識者を含む審議会又は検討会において、十分な審議を行い、慎重に検討すること。

*機関紙CYCLE No.1157(2021年3月25日)1~3面記事(*クリックでpdfファイルが開きます。)