見えない扉■ディスクレパンシーな<謎>の扉■【資料】ウェクスラー検査と下位検査の分類

ディスクレパンシーな
<謎>の扉
【資料】
ウェクスラー検査と下位検査の分類


 
<ウェクスラー検査と下位検査の分類について>

 WAIS-R検査の結果が出た後で、検査結果の見方についてネットで調べました。

 ウェクスラー検査は、知能・認知を測定する検査ですが、
この検査でASD・ADD・LDの診断をするわけではありません。

 WAIS-R検査は、ウェクスラー検査の成人用(16〜74歳)のものですが、
用語集などで触れられて入るものの、
その下位検査の分類についての詳細がわかるサイトは見つかりませんでした。

 ただ、ウェクスラー検査の内、WISC-R、WISC-III(5〜16歳)の子ども用のものについては、
小中学校の関わるためか、
下位検査について説明しているいくつかのサイトが見つかりました。

 その中で、「ディスクレパンシー」という用語について触れられているサイトの内容をメモしました。
(C)水兎 20040329
※ 参考にさせていただいた2つのサイトがリンク切れしていました。050708
<追記>
2005年の春、発達検査などのアセスメントに関するセミナーを受講する機会を得ました。
子供用の検査各種でしたが、
<検査をする><検査結果を計算する>ことの大変さ、
<検査から得た結果を理解し、支援に生かす>ことの難しさをを、
しみじみ実感しました。

もっともっと勉強して、
自分理解や、子どもたちの支援に生かせたらなあと思っています。
(C)水兎 050708
 



http://www.portnet.ne.jp/~tanimoto/WISCRkaikensa2.htmより →リンク切れ

<下位検査の分類> 新WISC−R知能診断事例集(日本文化科学社より)

 ■言語操作力(VO)
 ■空間操作力(SO)
 ■注意・記憶力(AM)

   <類似 単語  理解  絵画完成 積木模様 組合せ  算数 数唱 符号>


●この分類は表に示す3つの能力からなり、
  それぞれの能力には3つの下位検査が関連している。

●各能力に属する3つの下位検査の評価点を平均したものを、その能力の「群得点」と呼ぶ。

  ■言語性検査(VIQ)
  ■動作性検査(PIQ):言葉を使わないで、手足を使ってする検査。Pはパフォーマンス

@ VIQ、PIQ、FIQを確認する。
   :FIQとはフルIQ。(VIQとPIQを合わせたもののこと。)

A VIQとPIQの差を見る。

●15以上で大きい差(差のことをディスクレパンシーという。discrepancy
  ○「有意差がある(意味がある差)」と言う。
  ○差が10くらいだと意味はない。

●1%水準の有意差(偶然だと1%、偶然でないのが99%)
 5%水準の有意差(偶然だと5%、偶然でないのが95%)
  →つまり、1%水準の有意差の方が大きい差ということ。

● VIQが低いと過小評価されやすい。

● PIQが低いと過大評価。「もっとできるはずでは。」ということで、きつい指導を受けてしまう。
  過小評価も過大評価もその子にとってはよくない。

B 群得点の確認をする。

●臨床的にみれば、特定の群得点が他の群得点より2.0〜3.0点以上低いときには、
  その能力に落ち込みがあると考えられている。

●群得点は、学習障害の診断や類型化に特に有効であるとともに、
  学習障害以外の子供における能力の落ち込みを見出す場合にも有効である。

●学習障害の診断・類型化を行う場合は、この群得点と、VIQ、PIQとを併用する。
  ○なお、VIQやPIQを比べると、群得点は純粋にその能力を反映しやすい反面、
   下位検査数が少ないために安定性に欠ける。
  ○また、数値は年齢や状態によっても変動しやすいので、
   すべて数値から判断するのではなく、状態像をきちんと把握することが重要である。
C その他

●誤答分析をする。1つ1つのプロフィールがなぜ落ちているのかをみる。
   ■得点に一貫性がある…記憶の能力の問題、
   ■得点に一貫性がない…注意集中力の問題、不安が高い、気持ちのコンディション

●視覚的処理、聴覚的処理のばらつきと見る場合もある。

http://www.portnet.ne.jp/~tanimoto/「たにせんきょういく」→リンク切れ050708



http://www.edu.pref.kagoshima.jp/er/edu-info/ kiyou/h14/dai105/6syo-3.pdf - より→リンク切れ

Q1 個別式知能検査とはどのような検査ですか

●言語性検査と動作性検査からなる。
  →三つのIQ 、四つの群指数、下位検査のバランスなどから、個人内のさまざまな力が測定される。

●一人一人の「得意な部分」と「不得意な部分」から
  認知(情報)処理過程の特徴を明らかにし、指導に生かすことができる。

●七つの動作性検査、六つの言語性検査からなる13の下位検査を実施し、
  粗点を評価点に換算する。

 ■WISC −Vの対象年齢は5 歳0 か月〜16歳11 か月。

 ■評価点の合計から三つのIQ 、四つの群指数に換算する。
 ■パーセンタイルは100人中の順位に換算する方法。
   □例えば25パーセンタイルとは、下位から数えて25 番目に当たり、
     その得点以下のものが25人いることを示す。
   □90 %信頼区間とは、例えば100回中90 回は85 〜97 の間の値が出ることを表している。

 ■全検査IQ から全般的な知的発達をみることができる。
   □一般的に70 以上あれば遅れはないといえる。   
   □言語性IQ と動作性IQの差をディスクレパンシィといい、
     年齢により異なるが、おおよそ13 以上で有意差があるといえる。

 ■群指数は下位検査を組み合わせて測る能力で、
   IQと同じく平均は100 になり認知特性やバランスをみることができる。

 ■各下位検査の評価点が平均より3 点以上差がある場合、有意差があるといえ、
  それぞれ「得意な部分」、「不得意な部分」を表している。

Q2 認知処理様式の特徴を活用するにはどうしたらよいでしょうか

●認知処理様式とは。
 認知処理様式とは、
  ○課題を解決するために、外界からの情報を取捨選択して取り入れ、
   分類・変換・記憶・判断等する過程のこと。
  ○継次処理型と同時処理型の二つに大別される。

●K −ABC 検査の認知処理過程尺度は、
 継次処理尺度と同時処理尺度を測る下位検査から成る。
   →子どもの得意な認知処理様式を把握できる。

●WISC −V検査では、言語性IQ と動作性IQ の差が大きい場合
  →認知処理のアンバランスが予想される。

 ■例えば言語性IQ が高い子どもは、聴覚優位・継次処理型であると考えられる。
   →教師が子どもの認知処理様式に合わせた指導方略で授業を行うことで
     学習成果の向上が期待できる。

 ■K −ABC :K −ABC 心理・教育アセスメントバッテリー
 ■指導方略 :具体的な学習指導の手続きや手掛かり


<継次処理の優位な子ども> <同時処理の優位な子ども>
○課題を部分的に把握し、順番に解決する。
耳からの情報を受け取りやすい。
言葉による説明が理解を助ける。 
○課題を全体的に把握し解決する。
目からの情報を受け取りやすい。
絵や図などを利用した説明が理解を助ける。
<継次処理型指導方略とは> <同時処理型指導方略とは>
段階的な教え方
部分から全体への方向性を踏まえた教え方
順序性を踏まえた教え方
聴覚的・言語的手掛かりの重視
時間的・分析的要因の重視
全体を踏まえた教え方
全体から部分への方向性を踏まえた教え方
関連性を踏まえた教え方
視覚的・運動的手掛かりの重視
空間的・統合的要因の重視
例えば、こんな方法 例えば、こんな方法
「ノを書いて、ヨコ・タテ・ハネで、
 ヨコ・ヨコ、で“月”だね」
「おひさま」と「おつきさま」で「明るい」だ。
 →筆順を手がかりにした漢字の書き取り  →偏と旁を手がかりにした漢字の書き取り。

                     鹿児島県総合教育センター 特殊教育研修室 研修資料より


(C)水兎20040329/050708レイアウト変更・追記・リンク切れを確認

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